大手SPA、セレクトショップ、専門店の2019年5月の売上高(既存店ベース)は、低気温によって苦戦した企業が多かった4月から一転、5月後半にかけて気温が上がったことで、好調に推移したという声が目立った。ユナイテッドアローズ(UA)は4月に15カ月振りに前年実績を下回ったが、5月は復調。一方でユニクロは毎年恒例の催事を後ろ倒しした影響で、4月に続き前年を割り込んだ。
アダストリアの既存店売上高は前年同月比10.7%増。ただし、18年5月が同14.1%減と大きく落としていた反動も含む。18年秋からのMD刷新効果で、「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」「ローリーズファーム(LOWRYS FARM)」などの基幹ブランドが引き続き好調に推移しており、「花柄プリントの夏物のワンピースやスカートが売れた」(広報担当者)。月上旬の大型連休は「4月の連休の方が勢いはあったが、5月も予算通りで着地した」。
「無印良品」を運営する良品計画の直営既存店売り上げは、同4.5%増だった。4月は同0.5%減と落としていたが、5月は気温上昇に伴ってカットソーやリネンのシャツなどが動き、衣服・雑貨カテゴリーは同8.4%増となった。「20年2月期の第1四半期(19年3~5月)は概ね計画通りで進捗した」と広報担当者。大型連休による集客増で客数が同10.6%増となった効果もあり、食品カテゴリーは同12.8%増と大きく伸びた。ただし、生活雑貨カテゴリーは引き続き大型家具類が苦戦し、同0.2%減だった。
UAの小売りとECの既存店売上高は同4.2%増となり、4月の前年割れから復調した。月前半の大型連休は「日数の長さの割にインパクトはそこまでなかった」(広報担当者)が、後半にかけて徐々に気温が上がったことで、4月の苦戦要因のメンズで開襟シャツやTシャツなどの夏物が売れた。ウィメンズはオフィスにも対応できるきれいめカジュアルが引き続き好調。ロングワンピースやサンダル、カゴバッグも動いた。
好調の声が多いなかで、ユニクロは国内既存店とECの合計売上高が同1.8%減と苦戦。ただし、「昨年は5月25~28日に行っていた“誕生感謝祭”を、今年は5月31日~6月3日に後ろ倒しした影響が大きい」(広報担当者)。その点を考慮に入れれば「健闘している」。月前半の大型連休は「日数が長かったが、間延びすることなく連日悪くない結果で着地した」。売れ筋は“感動パンツ”や“エアリズム”、Tシャツ類などの夏物。
しまむらの主力である「ファッションセンターしまむら」の既存店売上高は、同0.8%減と引き続き苦戦。「天候不順や寒暖の差により大型連休前半は伸び悩んだが、同後半からワンピースなどのトレンド商品が好調に推移した」(広報担当者)。20年2月期の第1四半期(19年3~5月)の売上高は、しまむらの国内合計で前年同期比2.7%減となった。